非破壊による鉄筋挿入工根入長さ測定システム NND

鉄筋挿入工根入長さ測定システム【NND】は、弾性波(超音波)を用いた非破壊検査技術により、鉄筋挿入工をはじめとする埋設型アンカー鋼棒(補強材)の全長・地中挿入長を、対象物を損傷させることなく施工完了後に高精度で測定するシステムです。 

本システムの導入により、施工管理プロセスの効率化・省力化を達成し、管理者の作業負担を軽減するとともに、現場管理における安全性および信頼性の向上といった付加価値を提供します。

登録名称登録番号・区分
NETISCG-190002-A
実用新案登録3223548号
静岡県 新技術・新工法1703
広島県 革新技術効率化部門 2-04-010-3 区分3
NND測定状況
NND測定状況

NNDシステム構成・スペック

NNDシステム構成

構成
NDDデータ解析用PCパスフィルターⅡ
データ送受信操作
解析
保存
NNDデータ送受信機パスフィルターⅠ
データ送受信

プローブ
電圧制御
NNDプローブ弾性波発信・受信
NNDジャイロセンサー角田出力

NNDスペック

NNDデータ解析用PC
OSWindows 11
CPUIntel© Core™ i5
データ送受信Wi-Fi
送受信距離70m程度
NNDデータ送受信機
駆動電圧300~500V
使用波P波
重量800g
送受信距離70m程度
NNDプローブ(NND-W/W)
周波数5MHz(7MHz)
Φ15mm(Φ10mm・Φ20mm)
NNDジャイロセンサー(NND-WJ)
測定角度0~90度 ラジアン
測定間隔0.1度
固定方法マグネット
NND-W
NND-WJ(角度測定)

測定対象・構成・原理

測定対象

  • 鉄筋挿入工補強材の全長・削孔長測定(径D19~D32・長さ5.0m程度)および設置角度
  • 埋設型鋼棒全般の全長・削孔長測定および設置角度(落石対策工岩用アンカー鋼棒・構造物補強鉄筋など)
  • カップラ接続・溶接不良・大きな曲がり・鋭利な先端・大きな欠損・より線・拘束力が大きな場合は、測定困難または不可

測定原理

プローブから発信された弾性波(超音波)は、補強材端面で反射します。

往復伝搬時間と材料固有の音速(例:鋼材役5,900m/s)から全長を算出します。

L(m) = T(sec) × V(m/sec) ÷ 2
L:距離、T:時間、V:音速(物質固有の超音波伝搬速度)

反射

測定原理模式図

鉄筋挿入工補強材長測定
橋脚耐震補強用アンカーボルト長測定

特徴

鉄筋挿入工の施工管理に特化した解析表示ソフト

施工完了後補強材長・削孔長・配置角度を一括管理

鉄筋挿入工補強材長測定に特化したディスプレイ

タッチパネル式コントローラー(解析用PC)を採用し、測定条件設定・データ取得・保存・解析結果表示まで一貫した操作が可能です。

鉄筋挿入工(埋設型鋼棒)に特化したシステムにより、測定者の習熟負担を最小限におさえることができます。

Wi-Fiによる遠隔操作

高所作業における管理者の安全確保・負担軽減

Wi-FiによるNND遠隔測定状況

NNDデータ送受信機とNND解析用PC間は、Wi-Fi通信で接続されており、測定者が危険個所に立ち入ることなく、70m程度離れた安全な場所から、測定操作・データ取得・解析・データ保存が可能です。

これにより、法面など高所作業時のリスクを最大限に低減します。

2系統ノイズリダクション搭載

ネジ節形状に起因するノイズを低減

ノイズフィルターOFF

ノイズフィルターON

ノイズ低減フィルターの有効性

鉄筋挿入工特有のネジ節形状に起因する弾性波(超音波)の乱
反射によるノイズ成分を、2系統のノイズ低減フィルター(ハ
ードウエア+ソフトウエア)で低減することができます。

これにより、従来困難であった複雑な形状(ネジ節)における鋼材端面反射波の検出率を大幅に向上させています。

補強材ネジ節形状

軽量(0.8kg)・コンパクト設計

小型軽量

軽量・コンパクトなNNDデータ送受信器

システム全体の実装重量は2.8kgと可搬性に優れています。

NDデータ送受信機は0.8kgと軽量・コンパクトで、 電力消費量も小さく、5時間以上のフィールド測定が可能です。

NNDデータ送受信機とプローブは、コード接続されており、落下物のリスクを最小限に抑えることができます。

測定手順

計画書の立案・作成





性能確認(立会)
キャリブレーション(音速設定)
調




前処理(接触媒質塗布)
頭部キャップ取外し・プローブ接触面前処理・接触媒質塗布
測定(有資格者)
基礎データ入力、フィルター・感度調整、出来形波形取得、データ保存
データ解析・報告書作成

性能確認(音速設定)

調査対象と同質の試験材によりキャリブレーションをおこないます。

実測長とNND測定長が合致するよう、 音速を調整します。

NND解析用PCには音速の自動演算機が付加されています。

前処理(接触媒質塗布)

超音波が測定対象物に入射しやすよう、対象物のプローブ接触面を整え、接触媒質を塗布します。

測定(有資格者による)

高所や切土法面などロープアクセスによる作業となる場合、プローブの取扱いは法面工などの専門作業員が作業します。

判定者-有資格者-および立会者は、安全な場所で NND解析用PCによりワイヤレス操作をおこなうことができます。

NND起動した後、弾性波を送受信させ反射エコーが確認・明瞭化しされたらデータの保存をおこないます。

提案 NNDに期待される効果

鉄筋挿入工の新たな施工管理手法を提案します

国土交通省やNEXCOでは、鉄筋挿入工と同様に施工後不可視となる、トンネルロックボルトや橋脚耐震補強アンカー、鋼製防護柵(ガードレール)根入れ長さ管理について、従来の写真・出来形管理から、非破壊による出来形管理へと標準化が進んでいます。

TESHICKは、これらの先行事例を参考に、鉄筋挿入工の管理手法として「写真による全数管理」から「非破壊による抽出管理」への転換を提案します。

これにより、作業効率の向上と品質管理の信頼性向上を両立します。

NEXCO
国土交通省

省力化と信頼性の高い管理方法を提案します

国土交通省やNEXCOで採用されている管理手法に準拠し、工数を減らし任意指定個所にて抜取り検査を実施することにより、全数検査に近い品質確認が可能となるとともに、客観的データによる品質の可視化は施工信頼性を向上させます。

また、測定結果はPNG形式でデジタル保存されるため、データの改ざん防止が担保されます。

6. 受注者による施工管理

受注者は、非破壊試験の実施計画(測定機器の選定、測定原理・手順等)を検討し、これを盛り込んだ施工計画書を作成し、監督職員へ提出する。受注者は、監督職員が指示した支柱(種別毎に支柱総数の20%以上の支柱)に対して、測定機器による非破壊試験を実施する。 受注者は、非破壊試験の実施後、測定結果をとりまとめた測定結果報告書(「9.測定結果報告書」参照)を速やかに作成し、監督職員へ提出する。


非破壊試験による構成防護柵の根入れ長測定要領(案):国土交通省

波形データの保存(PNG形式)

工程間の待機時間を排除し効率的な連続作業を提案します

従来、削孔ごとに中断し実施していた出来形管理作業を、施工完了後に一括して管理可能となることで、作業の連続性を確保 し、工程停滞の要因を取り除くことができます。

これにより、施工効率・施工量が大幅に向上し、工程短縮に繋がります。

施工管理プロセスの革新

従来の方法
削孔←┐
補強材挿入1本毎に繰り返し
ロープ足場での測定・撮影作業─┘
全数出来形管理
紙ベースの記録
NND導入後
削孔
補強材挿入
安全な場所からの測定
任意抽出による代替管理
デジタルデータ記録

安全性が高く管理者の負担が少ない管理方法を提案します

法面などロープ足場が必要な測定では、Wi-Fiによるワイヤレス操作機能が効果を発揮、危険個所での作業を大幅に軽減させます。

法面などでプローブを取り扱う作業は法面工(熟練作業員)が担当し、NNDの操作・解析・判定作業は解析用PCを用いて安全な場所で実施することで、管理者の安全性を高めるとともに作業負担の軽減を図ります。

また、NNDデータ送受信機はプローブとコード接続としており、落下物のリスクを最小限に抑えています。

臨場検査状況

中間・竣工時などの臨場検査体制充実を提案します

臨場検査時には、その場で迅速に測定および判定が可能です。 

鉄筋挿入工の管理に特化した判りやすいディスプレイ表示により専門的な知識を必要としません。

測定状況

採用事例

鉄筋挿入工 補強材長測定
橋脚耐震補強アンカー長測定
スペック不明鉄筋挿入工補強材の全長測定
臨場検査時における補強材長測定